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アニメって言うのは一人で作ってるのではなく1つの素材を各工程の人が見ます。
なので、「コンテの字が汚くて読めない」「シートの数字が2なのか3なのかわからない」等
有ってはならない。

あくまで「素材は他人が見るもの」ということを忘れない。

ここでは演出業務の流れを書いていく!

自分がアニメ業界に入った頃と、演出をやり始めた頃、さらに現在と…

やり方がだんだん変わってきた(ま、根本的には一緒なんだけどね)

今の作り方は、あまり良いとは言えないが…個人の力では、どうにもできないのが現状。

これが演出の仕事の流れ

​★演出の仕事★

2020年代Ver

これが普通ではないが、最近はこの流れが主流。

​●コンテ打ち(絵コンテ打ち合わせ)

シナリオを基に監督と打ち合わせをし、コンテを切る。
​コンテが上がったら監督及びメーカーチェック。

文字から状況を絵に起こすという非常に困難な作業が「コンテを切る」作業である。

キャラがどんな感情でどう動くのか画面構成も考えるなど、考えることが山盛りで

​時間は掛かるがスケジュール的には3~4週間で上げなければならない。

​●演打ち(演出打ち合わせ)

上がったコンテを基に監督と打ち合わせし、内容の摺り合わせ。
​芝居の流れや服装、時間帯、撮影処理等を確認する。

​●コンテ撮(絵コンテ

A.R用にコンテでタイミングを撮影。
コンテを基にラフタイミングとセリフボールドを入れ
タイムシートを作成する。

最近ではコンテ撮してアフレコ後に作打ちが定番化している。
昔みたいに原画上がり後や色付きカッティングはほぼない。
逆にあると対応できない演出や原画が増えたので
​時間があってもコンテ撮はタイミングを計るうえで必須になりつつある。

​シートの書き方は タイムシートについてを参照。

コンテ撮の作り方は コンテ撮を参照。

​●カッティング(C.T

コンテ撮をラフ編集していく。(最近この段階では定尺を出さない)
タイミングや芝居の確認、セリフがちゃんと収まるか、間は大丈夫か?
​編集さん、監督、演出で確認しながら編集していく。

​カッティング後、変更になったセリフ等はアフレコ台本に記入して修正する。
​演出は2冊修正する。(自分用と音響さん用)

セル時代はCT前に原画が上がってたんだけどね…

​今はなかなかCT前に原画が揃うことないし、対応できる演出も少ないのでは?

​●アフレコ(アフターレコーディング​/A.R

音響監督が中心になって声優さんが声を当てていく。
​セリフの間違いやニュアンス違い等があれば音響監督に伝える。

声優さんが声を当てて映像に声が入ると、ただの絵に命が吹き込まれ

​感動できる瞬間だ。

​●作打ち(作画打ち合わせ

各原画マンとの打ち合わせ。
​コンテの担当のシーンの内容を原画マンに説明する。
今は担当原画マンが10~20人いるので何日にも亘って
​小分けに打ち合わせしないといけないので大変面倒である。

演出は各セクションでいろいろ説明しなくてはいけないので

​シャイだなんだと言っていられない。

​恥ずかしがり屋では演出になれません。

​●LOチェックレイアウトチェック

今はLOチェックといっても第一原画込みで
ほぼ直原状態で背景と芝居、タイミングを
すべて最初にチェックしなければならないので大変である。
BGパースは合っているのか?パースにキャラが乗っているか?
キャラの服装や小物は合っているか?
光源は合っているのか?等々
​見るところがいっぱいある。

最近はコンテ撮でシートを作ってしまうので、

原画マンが1からシートを書く機会も少なくなったので

ちゃんと書ける人も少なくなった…

​ま、若い演出さんも書き方知らないんだけど…

​LOチェックの仕方は レイアウトのページを参照

​●作監打ち(作画監督打ち合わせ

作監さんにコンテの内容や注意点を説明する。

今は作監さんが原画マンと同じくらいいるのでめっちゃ大変。

1人10カットとかってもう原画マンじゃん…修正もそれほど上手くないのが現状。

​●色・背・撮打ち(色彩・美術・撮影打ち合わせ

色彩さんと美術さんと撮影さんとの打ち合わせ。
​小物の色や時間帯、フィルター等、各セクションへの指示。

スケジュール次第で3者が揃わないで別々で打ち合わせすることもある。

​特効(特殊効果)打ちもここで合わせてやることも多い。

​●総作監打ち(総作画監督打ち合わせ)

作監打ちと同様、総作監さんにコンテの内容や注意点等を説明する。

現場によっては総作監打ちないって場合もあるね…

ま~総作監忙しいしね…

​今は総作監ですら掛け持ちが多すぎて10~20カットしか受けられず

​5~6人総作監が居るのに50~80カットしか修正が入れられないのが現状。

​以前は部分修正で済んでいたが、最近は作監の質も悪く、

総作監が全修するケースが多い…

なのであまり多くカットを持てないっていう事にもなっている。

​●原画チェック(第二原画チェック

第一原画や作監、総作監の絵がちゃんとトレス出来ているか?
原画に不備がないか?シートの不備はないか?
パーツ抜けや服装違い等、もろもろチェック。

ま~最近では第一原画時にチェックしてるので、確認作業に近い。

​グロスの演出さんや制作だと、チェックなしで動仕に回されることも多い。

今は第一原画、第二原画と完全に分かれてしまったので、とにかく不備が多い。

あと多いのが引き写し!

​INやOUTやうなずきとか、ほぼ引き写される。

​困った現状である。

​(この一連は現場のスケジュールによって前後したりします。)

​●BGチェック(背景チェック

美術さんから上がってきたBGをチェックする。
不備はないか?パースはあってるか?
​意図したものがちゃんと描き込まれているか?

時間が無くなると真っ先に飛ばされるBGチェック。

​ヤバい現場だとラッシュでチェックすることになる。

​●ラッシュ(バララッシュ

撮影さんから上がった撮影上がりをチェックする。
以前は皆で見てチェックしていたが、今は確認でチェックするのが主流。
撮影ミスやシートのミス、塗間違い等の不備はないか?
リテーク(リテイク/R)がでれば[R出し]

リテーク表が書ける制作はまずいません。

[撮ま!]の「リテイクに関する注意事項」を見ると参考になる。

​●マーキング(M.K)

効果音等を入れるために編集ムービーにマークを打っていく。
足音とか殴った時の当たったポイント等
編集、監督、演出で確認しつつマークを打っていく。

足音でも草原と石畳では音が違うし、裸足や靴でも音が違うので
音響さん用に[マーキングメモ]も出す。
​(この辺りで尺の再調整をして[定尺]を出すことが多い。)

マーキングメモ、ダビングメモ、音響メモと言い方はいろいろあるが

要は、音響さんに画面の状況を分かりやすく説明するメモ。

色付きでダビングする場合はマーキング自体無くなりメモも不要。

状況が良ければ若い話数は色付きになるがスケジュールが悪くなると

白味が増え​マーキングが必要になる。

​●ダビング(D.B

音楽や効果音を入れる作業。実写映画や音楽業界ではM.Aと呼ばれる作業。
音楽の入るタイミングや効果音のイメージや
音楽のイメージがシーンにマッチしてるか?
確認していく作業。

​●オールラッシュ

撮影が終わって、もろもろ不備がないかチェックする。
​今は編集に入れて繋いだムービーを出してくれる。
ダビングが終わっていればセリフも効果音も入った状態でチェックできる。
ダビング前ならセリフのみ。

以前は各セクション皆で集まってチェックするのが当たり前だったが、

​今は、ほぼ個別でチェックする感じになってるかな?

​●R出しR直し(リテーク出し​/直し

ラッシュやオールラッシュ時に出たRを修正する。
シートの修正は修正部分を[赤]で修正する。

デジタルになってシートを色を使って書いてくる人がいる。

​Rで修正するときに赤で修正するのでシートで色を使うのはNG。

​●原版

撮影素材がほぼ揃って編集で最終調整。
​本当は全部揃ってないといけないんだけど、まだ原画作業中やR作業中が多い。

​●V編(ビデオ編集

フォーマット編集。
テロップを入れたりパカチェック等を行う。
口パク(セリフのズレ)の最終調整もする。

演出はここに参加することはあまりない。
​この前までで演出の仕事は終わる。

この時点でまだ上がりきっていない場合、

撮影から上がってきたものをチェックしてV編会場に送る。

​もしくはV編直差しで監督がチェックしてRが出た場合は

V編待機の演出が直しV編に送る。

​●納品

これにて
演出の業務は終了する。
​お疲れ様でした。

演出の仕事はこの工程を全てやらなければならない。

演出って基本的に1話数1人なので非常に大変です。

​流れ作業にせずこだわりを持って作業してもらいたい。

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